はじめに
ダイハツ ムーヴ(Daihatsu Move)は、軽自動車として高い人気を誇る車種です。軽量コンパクトなボディに加えて、燃費性能や室内空間の広さが魅力となっています。多くの年式・グレードが存在し、日常の足として日本全国で親しまれているクルマです。
本記事では、そんなムーヴの重要な点火系部品である「イグニッションコイル」について、仕組み・トラブル事例・交換のタイミング・交換費用・DIY整備のポイントなどを含めて詳しく解説していきます。軽自動車ユーザーにとっても役立つ内容となっていますので、ぜひ参考にしてください。
イグニッションコイルとは?
イグニッションコイルとは、バッテリーから供給される12ボルトの電圧を、火花を飛ばすための数万ボルトまで昇圧する部品です。この電圧でスパークプラグに火花を飛ばし、シリンダー内の混合気に点火することでエンジンが回る仕組みとなっています。
ムーヴを含む近年の自動車では、各気筒ごとに1つのイグニッションコイルが配置されており、これを「ダイレクトイグニッションシステム(DIS)」と呼びます。この方式は高効率でトラブルも少なく、整備性も良いのが特徴です。

ダイハツ ムーヴに搭載されるイグニッションコイルの特徴
ダイハツ ムーヴのエンジン型式には、EF-VE、KF-VE、KF-DETなどがありますが、いずれも3気筒の軽自動車用エンジンです。これらのエンジンでは、各気筒に1つずつイグニッションコイルが取り付けられています。
ムーヴに使われる純正のイグニッションコイルは、ダイハツ純正部品もしくはDENSO(デンソー)製のものが多く、信頼性は高いですが、走行距離や経年劣化によって故障することもあります。
イグニッションコイルの主なトラブルと症状
1. エンジン不調・振動
もっともよくある症状が、アイドリング時の振動やエンジンのガタつきです。1気筒でもイグニッションコイルが機能していないと、燃焼がうまく行われず、エンジンがスムーズに回らなくなります。
2. チェックランプ点灯
エンジン警告灯(チェックエンジンランプ)が点灯することがあります。OBD2スキャナを使用すると、特定の気筒における「ミスファイア(失火)」が記録されていることが多いです。
3. 加速不良
イグニッションコイルのトラブルにより、必要なトルクが得られず、加速が鈍くなることがあります。坂道や合流時などに違和感が出やすいポイントです。
4. 燃費の悪化
点火ミスにより無駄に燃料が消費されることで、燃費が悪化するケースもあります。

交換のタイミングと寿命
一般的に、イグニッションコイルの寿命は約10万kmが目安とされていますが、使用環境によってはそれより早く寿命が来る場合もあります。とくに以下のような状況では、早めの点検・交換が推奨されます。
- 走行距離が10万kmを超えている
- プラグ交換歴がなく長期間メンテナンスしていない
- 高温多湿の環境で使用している
- 上記のような症状が出始めている
故障が一つでも見つかった場合は、他のコイルも同様に劣化している可能性が高いため、3本まとめて交換するのが賢明です。
純正品と社外品の違い
イグニッションコイルを交換する際、純正品と社外品のどちらを選ぶべきか迷う方も多いでしょう。
- 純正品(例:デンソー)
品質が高く、耐久性も安心。価格は高めで、1本6,000〜10,000円ほど。 - 社外品(互換品)
安価で入手しやすいが、製品にばらつきがある。ネット通販では1本2,000〜4,000円前後で購入可能。
費用を抑えたい方には社外品も選択肢になりますが、信頼できるメーカーやレビューを確認することが大切です。
交換方法とDIY整備のポイント
必要な工具
- ラチェットレンチとソケット(10mm)
- プラスドライバー
- トルクレンチ(できれば)
手順の概要(KFエンジンの場合)
- エンジンを停止し、バッテリーのマイナス端子を外す
- エンジンカバーを外す
- イグニッションコイルのカプラーを外す
- ボルトを外してコイルを引き抜く
- 新しいコイルを取り付け、逆順で組み付ける
作業自体は比較的簡単で、慣れていれば30分〜1時間程度で完了します。ただし、誤接続やカプラー破損に注意しましょう。
交換費用の目安
ディーラーや整備工場に依頼した場合の費用は以下の通りです(3本交換時):
項目 | 費用の目安 |
純正コイル部品代(3本) | 約18,000〜30,000円 |
工賃 | 約5,000〜10,000円 |
合計 | 約23,000〜40,000円 |
社外品を使ったDIY整備であれば、合計5,000〜10,000円程度で済ませることも可能です。
よくある質問(FAQ)
Q. プラグも一緒に交換した方がいいですか?
A. はい。イグニッションコイルとスパークプラグは密接に関係しており、どちらかが劣化するともう片方にも負担がかかります。セット交換が望ましいです。

Q. 異常があるかどうか、どう判断すればいい?
A. OBD2診断機を使ってエラーコードを確認するのが確実です。最近ではスマホと連携する簡易診断機も手軽に入手できます。

まとめ
イグニッションコイルは、ダイハツ ムーヴのエンジンにとって欠かせない重要部品です。小さな部品ですが、トラブルが起こると燃費の悪化やエンジン不調といった大きな影響を及ぼします。
寿命の目安や症状を理解し、定期的なメンテナンスや早めの交換を心がけることで、ムーヴの性能を長く維持することができます。DIYでの交換も難しくないため、チャレンジしてみたい方はぜひこの記事を参考に、イグニッションコイル整備にトライしてみてください。

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