タントのCVT故障は“車の寿命”のサイン?

 今回は、これまで何台も診てきた中でも印象的だった「ダイハツ・タントのCVT(無段変速機)トラブル」について、実際の故障事例と共にお話しします。

タントは使い勝手が良く、軽とは思えない室内空間を持つ人気車種です。
しかし、10万km前後を超えてくると、「加速が鈍い」「変な音がする」といった相談が一気に増えてきます。
そして多くの場合、その原因はCVTの劣化や故障です。

この記事では、実際の修理体験をもとに、

  • 故障の初期症状
  • 原因と修理内容
  • 修理費用の実例

整備士が感じた“買い替えを考えるべきタイミング”
を詳しく解説します。

■ タントでよくあるCVTトラブルとは?

CVT(Continuously Variable Transmission)は、ギアを持たずにプーリーとベルトの組み合わせでエンジン回転をスムーズに伝える仕組みです。
燃費の良さと加速の滑らかさが特徴ですが、構造が複雑で熱やオイルの状態に敏感なため、メンテナンスを怠るとトラブルが出やすい部分でもあります。

特にタントでは、以下のような症状が出やすい傾向があります。

よくある症状

  • 走行中に「ゴーッ」「ウィーン」といった唸り音がする
  • 坂道発進で加速が重い
  • エンジンの回転数だけ上がって車が進まない
  • 信号待ちから発進するときに振動する

こういった症状が出ている場合、CVT内部のベルトやプーリーの摩耗、またはオイル(CVTフルード)の劣化が進んでいる可能性が高いです。

■ 実際の故障事例:10万km超えのタントで発生したCVT異音

【お客様の声】

「最近どうも走り出しが重いんです。坂道だとアクセルを踏み込まないと登らなくて…。あと、前より“ゴーッ”ていう音がするようになってきました。」

このようにご相談いただいたのは、平成25年式タントカスタム(LA600S型)
走行距離は約10万2,000kmでした。
日頃のオイル交換はまめにされていたようですが、CVTフルードの交換履歴は一度もなしとのこと。

【整備士の点検】

試運転をすると、確かに低速域で「ゴーッ」という低い唸り音が発生していました。
アクセルを踏み込んだ際、エンジン回転数は上がるのに速度がついてこない。
いわゆる「滑り」が起きている状態です。

診断機でエラーコードを確認したところ、CVT内部圧力に関するエラーを検出。
さらにオイルを抜いてみると、焦げたような臭い金属粉が混じった黒いオイルが出てきました。これは典型的なCVT内部摩耗のサインです。

■ 故障の原因は“CVTフルード未交換”による内部摩耗

CVTの内部は金属ベルトとプーリーが絶えず摩擦しながら動いています。
その潤滑と冷却を担っているのがCVTフルード

しかし、このフルードは長年の使用で酸化・劣化し、潤滑性能が落ちていきます。
結果、金属同士の摩耗が進み、ベルトスリップが起こり、最終的には変速制御ができなくなります。タントに限らず、CVTフルードは2万〜3万kmごとの交換が理想
しかし現実には「ディーラーで交換を勧められなかった」「そんなに重要だと思っていなかった」と言う方がほとんど。
その結果、今回のように10万kmを超えてから大きな故障につながるケースが多いのです。

■ 修理内容と費用|リビルトCVT交換で約15万円前後

今回の車両では、CVT本体内部の損傷が大きく、フルード交換や洗浄では改善できませんでした。
そのため、CVT本体をリビルト(再生)品に交換する修理を行いました。

修理内容

  • リビルトCVTユニット交換
  • CVTフルード全量交換
  • オイルクーラー・ホース類点検
  • システム初期化・学習リセット

修理費用(目安)

内容費用(税込)
リビルトCVT本体約110,000円
CVTフルード・部品類約15,000円
工賃約25,000円
合計約150,000円前後

CVT本体を新品で交換する場合は20万円を超えることもあります。
走行距離10万kmを超えたタントにこの費用をかけるかどうか、悩むオーナーが非常に多いのが実情です。

■ 買い替えを検討すべきタイミングとは?

整備士として正直に言うと、CVT本体の交換が必要になった時点で、その車は“寿命の一歩手前”です。
理由は単純で、CVTが劣化しているということは、同じ走行距離でエンジンマウント、足回り、電装系なども同様に疲れ始めているからです。

修理しても他の部分が次々と故障し、結果的に出費が増えてしまうケースが多い。

買い替えを考えるべきサイン

  • CVT交換を含む修理見積もりが10万円以上になる
  • 走行距離が10万kmを超えている
  • 車検が近い
  • 他にも足回りやエアコンなど小さな不調が出始めている

この条件が重なった場合、無理に修理を続けるよりも、安全性と経済性の面から買い替えがおすすめです。

■ 買い替えるならどんな車がいい?【整備士の目線】

同じ軽ハイトワゴンで比較するなら、

  • 新型タント(2024〜)はCVT制御が改良され、耐久性が向上
  • スペーシアはCVTではなくトルクコンバーターATを採用(メンテが簡単)
  • N-BOXはCVTだが、冷却系の設計が良く熱トラブルが少ない

つまり「もう一度タントに乗りたい」方も、年式が新しいモデルなら同じ失敗を繰り返さずに済むというわけです。中古車を検討する場合は、
・CVTフルードの交換履歴があるか
・異音や変速のタイムラグがないか
を必ず確認しておくと安心です。

■ 日常でできるCVTトラブル予防法

まだ乗り続けたい方のために、整備士が実践しているCVTを長持ちさせるポイントを紹介します。

① 2〜3万kmごとのCVTフルード交換

これが最も重要。
新しいオイルにすることで内部摩擦を減らし、金属摩耗を防げます。

② 急発進・急加速を避ける

CVTはスムーズな加速が得意な反面、急激なトルク変化には弱い構造。
アクセルをじわっと踏む運転が理想です。

③ 長時間アイドリングを避ける

渋滞や停車中でもCVTは内部で動いています。
熱がこもる環境ではオイルが劣化しやすいため、エンジンを切る工夫を。

④ 異音や振動を感じたら即点検

「たぶんタイヤの音かな」と思っていた異音が、実はCVTの初期症状だったという事例も多いです。
早めの診断が“致命傷”を防ぎます。

■ 整備士の本音|CVT故障は「車の終わりを知らせるサイン」

タントのCVTトラブルを数多く見てきましたが、正直なところCVT本体交換に踏み切る方は全体の3割程度です。
残りの7割の方は、修理見積もりを見た瞬間に「もう買い替えようかな…」と判断されます。

そしてそれは、決して間違いではありません。

CVTは車の心臓部です。
ここが壊れるということは、車としての“根っこ”が傷んでいる証拠。
一時的に修理しても、いずれまた同じようなトラブルが発生します。

むしろ、「CVTが壊れた=安全に乗り換えるタイミング」と前向きに捉える方が多いです。

■ まとめ:CVT異音・加速不良を感じたら、それは「乗り換えサイン」

タントのCVTトラブルは、初期症状こそ小さな違和感ですが、放置すると確実に悪化します。
特に以下のような症状がある方は、すぐに点検を受けてください。

  • エンジン回転数だけ上がって車が進まない
  • ゴーッという低音の唸り音がする
  • 坂道で加速が鈍い
  • アイドリング中に振動が出る

これらが出始めたら、修理費用15万円コースは覚悟が必要。
その金額をかけるなら、買い替えで新しい安心を手に入れる選択も悪くありません。「まだ走るから大丈夫」と思ったときが、実は“最後の警告”。
もしあなたのタントにも同じ症状が出ているなら、それは“次の相棒を探すタイミング”かもしれません。

🏠 車のトラブルや買い替えのご相談は「株式会社しんこう」へ!

もし今回ご紹介したようなCVTの異音や加速不良などが気になる方は、早めの点検をおすすめします。
症状を放置してしまうと、修理費用が高額になってしまうケースも多く、「それなら買い替えた方がいい」と判断されるお客様も少なくありません。

当店「株式会社しんこう」では、
新車・中古車販売
お得なカーリースプラン
整備・車検・メンテナンス
までトータルでサポートしています。

「修理するか、買い替えるか迷っている…」という方もお気軽にご相談ください。
お客様のカーライフに合わせて、最適な選択肢をご提案いたします。

📍店頭でのご相談も大歓迎です。
実際に車を見ながら、修理費用・乗り換え費用の両方を比較してみましょう。
皆さまのご来店を、スタッフ一同心よりお待ちしております。

お問い合わせは下記LINEからも対応しております!

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