はじめに
ダイハツ ミライースは、燃費性能を重視した軽自動車として多くのユーザーに支持されています。その燃費向上技術の一つとして搭載されているのが「アイドリングストップ」機能です。この機能について、メリット・デメリットから解除方法まで詳しく解説します。
ミライースのアイドリングストップ機能の概要
基本的な仕組み
アイドリングストップとは、信号待ちなどで車両が停止した際に、エンジンを自動的に停止する機能です。ミライースの場合、一般的なアイドリングストップよりも進歩した機能を搭載しており、走行中の時速7km以下になるとエンジンが停止する新機能を採用しています。
これにより、完全停止前からエンジンを止めることで、停止時間を長くし、より効果的な燃費向上と排気ガス削減を実現しています。
作動条件
ミライースのアイドリングストップは以下の条件で作動します:
- 車速が7km/h以下になった時
- ブレーキペダルが踏まれている時
- エンジン水温が適正範囲内にある時
- バッテリー電圧が十分な時
- エアコンの負荷が軽い時
- ステアリングが中立位置にある時
アイドリングストップのメリット
1. 燃費向上効果
最も大きなメリットは燃費の向上です。信号待ちなどでエンジンが停止することで、無駄なガソリン消費を削減できます。特に都市部での走行では、信号待ちの時間が長いため、その効果は顕著に現れます。
2. 排気ガス削減
エンジン停止により排気ガスの排出が止まるため、環境への負荷軽減につながります。これは地球温暖化対策や大気汚染防止に貢献する重要な機能です。
3. 騒音の低減
エンジン停止により車両からの騒音が軽減されます。特に住宅街や静かな環境での走行時に、周囲への騒音影響を減らすことができます。
4. エコカー減税の対象
アイドリングストップ機能付きの車両は、エコカー減税の対象となるため、購入時の税制優遇を受けることができます。これは経済的なメリットとして大きな魅力です。
5. 意識的なエコ運転の促進
アイドリングストップ機能により、ドライバーが自然とエコ運転を意識するようになり、総合的な燃費向上につながります。
アイドリングストップのデメリット
1. バッテリーへの負荷
アイドリングストップ機能は、バッテリーに大きな負荷をかけます。エンジンの停止・再始動を繰り返すため、通常のバッテリーよりも負荷が大きく、バッテリーの寿命が短くなる可能性があります。
2. エンジンの始動遅延
アクセルを踏んでからエンジンが再始動するまでにタイムラグがあります。右折時などで瞬間的な加速が必要な場面では、このタイムラグが安全上の問題となる可能性があります。
3. エアコンの効きが悪くなる
エンジン停止中はエアコンコンプレッサーも停止するため、夏場は熱風が出て不快になることがあります。冬場も暖房の効きが悪くなる場合があります。
4. 運転のストレス
頻繁なエンジンの停止・再始動により、運転に慣れていない方はストレスを感じることがあります。特に渋滞時や坂道での停車時には、煩わしさを感じるドライバーも多いです。
5. 部品の摩耗促進
エンジンの始動回数が増えることで、スターターモーターなどの部品の摩耗が促進される可能性があります。これにより、メンテナンス費用が増加する場合があります。
6. 運転技術への影響
交差点での右折待ちなど、対向車の通過を待っている間にアイドリングストップが作動すると、発進のタイミングを逃してしまう可能性があります。
燃費への実際の影響
実際の燃費への影響について調査されたデータによると、アイドリングストップのオン・オフによる燃費差は使用環境によって大きく異なります。
都市部での走行では、信号待ちが多いため燃費向上効果は比較的大きく現れますが、高速道路や郊外での走行では効果は限定的です。また、エアコンを多用する夏場や冬場では、エンジン停止による快適性の低下が燃費メリットを上回る場合もあります。
アイドリングストップの解除方法
1. 手動での解除(一時的)
最も簡単な方法は、ダッシュボードにあるアイドリングストップのOFF/ONボタンを押すことです。この方法では、エンジンを始動するたびにアイドリングストップが復活するため、毎回操作が必要になります。
2. 市販のキャンセラーを使用
より永続的な解除を希望する場合は、市販のアイドリングストップキャンセラーを使用します。
対応製品の例
- INEX アイドリングストップキャンセラー(LA300S/LA310S用)
- ダイハツ車用アイドリングストップキャンセラー(LA350S/LA360S用)
取り付け方法
- アイドリングストップスイッチパネルを取り外す
- スイッチ裏のカプラーを外す
- キャンセラーのカプラーを間に取り付ける
- パネルを元に戻す
取り付けは比較的簡単で、基本的に工具は不要です。カプラーオンタイプなので、配線の切断なども必要ありません。
3. DIYでの解除(自作)
電気的な知識がある方は、自作でアイドリングストップを解除することも可能です。
主な方法
- ボンネットセンサーの加工:ボンネットが開いていることを検知するセンサーを加工して、常時ボンネットが開いている状態と認識させる
- 配線の短絡:アイドリングストップ関連の配線を短絡させてキャンセルする
- リレーの追加:リレーを追加してアイドリングストップ信号を遮断する
注意点
- 車両の保証に影響する可能性があります
- 電気系統の知識が必要です
- 作業を誤ると車両の故障につながる可能性があります
4. 常時解除と選択的解除
キャンセラーの中には、完全に無効化するものと、スイッチ操作で必要時にアイドリングストップを使用できるものがあります。後者の方が柔軟性があり、状況に応じて使い分けることができます。

解除時の注意点
1. 法的な問題
アイドリングストップの解除自体は法的に問題ありませんが、環境への配慮は必要です。不要なアイドリングを避け、環境負荷を最小限に抑えるよう心がけましょう。
2. 車検への影響
アイドリングストップ機能の解除は、車検に直接的な影響はありません。ただし、排気ガス検査などで影響が出る可能性があるため、キャンセラーは取り外し可能なものを選ぶことをおすすめします。
3. 燃費への影響
アイドリングストップを解除すると、燃費は悪化します。特に都市部での走行では、その影響は顕著に現れるため、燃料費の増加を考慮する必要があります。
使用シーンによる判断
アイドリングストップが有効な場面
- 長時間の信号待ち
- 渋滞時の停車
- 駐車場での待機
- 環境に配慮したい場面
アイドリングストップが不要な場面
- 短時間の停車
- 坂道での停車
- 右折待ちなど瞬間的な加速が必要な場面
- エアコンを重視する場面
メンテナンス面での考慮
バッテリー管理
アイドリングストップ車は、専用のバッテリーを使用しています。このバッテリーは通常のバッテリーよりも高性能ですが、価格も高く設定されています。
定期的なバッテリー電圧チェックと、必要に応じた交換が重要です。バッテリーの劣化は、アイドリングストップ機能の不具合につながる可能性があります。
エンジンオイル管理
頻繁なエンジン始動により、エンジンオイルへの負荷も増加します。定期的なオイル交換を心がけ、推奨される粘度のオイルを使用することが大切です。
今後の展望
自動車業界では、アイドリングストップ技術の改良が続けられています。より効率的なシステムや、快適性を損なわない技術の開発が進んでいます。
また、電動化の進展により、将来的にはアイドリングストップ機能自体が不要になる可能性もあります。ハイブリッド車や電気自動車では、エンジンの始動・停止がより滑らかに行われるため、現在のアイドリングストップの問題点が解決される可能性があります。
まとめ
ミライースのアイドリングストップ機能は、環境への配慮と燃費向上を目的とした重要な機能です。しかし、使用環境や個人の価値観によって、そのメリット・デメリットの感じ方は異なります。
機能を活用する場合は、適切なメンテナンスと使用方法を心がけることが大切です。一方、機能を解除する場合は、環境への影響を最小限に抑えつつ、適切な方法で行うことが重要です。
最終的には、自身の使用環境と価値観に基づいて、アイドリングストップ機能の使用を判断することが大切です。どちらの選択をする場合も、安全運転と環境への配慮を忘れずに、快適なカーライフを送りましょう。

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